ITエンジニアは、金融・製造業などを対象とした業務アプリケーション開発を中心とする方と、ECサイトやソーシャルゲームなどを手掛けるコンシューマ向けアプリケーション開発エンジニアに大きく分けられます。一般的には業務系からコンシューマ向けの転職は難しいとされています。その主な理由は、
1)技術領域が狭い
業務系システムの開発では、システム規模が大きいケースが多く、フェーズ(要件定義、基本設計、詳細設計、実装、テスト、運用)毎や、領域(ネットワーク、サーバー、ミドルウェア、フレームワーク、開発)毎にも担当が分かれているケースが多く、技術が分散しがちです。ところがコンシューマ向けのシステムは違います。企画段階からエンジニアも参加し、上流から下流工程、運用フェーズに至るまで一貫してシステムに関わっていきます。技術領域も、兼任してハードウェアからソフトウェアまで幅広くこなす必要に迫られるため、業務系のエンジニアには、採用ハードルが必然的に高くなってしまいます。
2)スピード感や開発手法が全く違う
業務系はフェーズ毎にしっかりと分けられており、フェーズ毎にドキュメントをきっちり作成し、何度も丁寧に打ち合わせを重ね、堅実にシステムを設計、実装し、リリースへと繋げていきます。その反面、コンシューマ向けのアプリケーションは、スピード命です。競合他社より1秒でも早く新しい企画のものをリリースする必要があるため、開発効率の向上にしのぎを削っています。また、企画段階から、取りあえず動くものを作成して、何度も試行錯誤を繰り返しながら、作っていく方式をとるケースが多く、開発の手法そのものから違っています。
3)自発性・積極性が違う
コンシューマ向けのシステムでは、OS・ミドルウェアから開発言語に至るまでオープンソースを採用していることが多く、常に情報収集や技術研さんが求めています。自発的に自宅でアプリケーションの開発に没頭したり、勉強会や自作アプリケーションを発表し合うコミュニティのようなものへ参加し、他社のエンジニアと交流を深めるといった積極的な活動をされている方を多く見受けられます。
先日、渋谷にある毎週月曜日のみオープンする「Bar Android」というお店に行ってきました。そこでは、Androidアプリ開発者やiPhoneアプリ開発者が集まり、お酒を飲みながら最新技術の話で盛り上がったり、それぞれ開発したアプリを紹介し合う等、活発なコミュニケーションの場となっていました。
また、ソーシャル事業を手掛ける「KLab株式会社」では、エンジニアがPCなどを持ち寄り、技術情報を交換しながら開発を進め、最後に開発したアプリケーションやサービスをプレゼンするというイベント「ハッカソンイベント」や、プログラミングコンテストが行われています。こういった動きもコンシューマ系の特色の1つと言えるでしょう。
但し、若手であれば、業務系からコンシューマ系への転職を勝ち取る方も増えてきておりますので、コンシューマ系に転身を図りたい方は、積極的に関わり合いを持ち、果敢にチャレンジしていって頂きたいと思います。
<槍穂縦走>