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第1157章
2024/03/08

お見送りを伝える企業の気持ち(前編)

弊社は転職エージェントですが、いち企業として自社社員の採用も行なっています。採用ページ作成、エージェントとの提携(人材紹介会社も競合の人材紹介会社を利用して採用をしています)、求人票の作成、そして、書類選考、面接、面接の結果連絡、オファー面談などなど、採用における全てのプロセスに対応しています。

そして、私は代表として最終面接官をしています。代表になる前は一次面接や二次面接も担当してきました。今回のコラムでは、いつもとちょっと視点を変えて、面接官としての立場から選考を行う企業の動きや面接官の気持ちを書いてみたいと思います。

書類選考

まずは書類選考です。いろんな方が応募してきますが、まずは応募してくれてありがとう、という心境です。

中途採用をしている企業は数千、数万とあるわけです。その中から応募先として選んで頂いただけでもまずは感謝です。

それから、期待を胸に応募書類を開きます。希望に合う人であればいいなと祈りながら、PDFファイルを開きます。

おっ!と思う時もあれば、うーん、と思う時もあります。まさにこういう人に来て欲しかった!という時は悩む必要はありませんが、ほとんどの場合、面接をするかどうかの判断をするために応募書類をじっくり読むことになります。

まずは、当社で生かせる経験が何かないかを探します。一見なさそうに見えていても、業務の特性からこういう仕事をしているのでは?と想像してみたりもします。また、元々想定はしていなかったけれども、実はこういう仕事を任せることもできるかも?といったことも考えてみます。

このように、あらゆる可能性を考えた上で、どうしても任せる仕事がないとか、教育に時間がかかりすぎるといった場合に、大変申し訳ない気持ちでお見送りの連絡を入れます。

少し話が逸れますが、お見送りという言葉には、いまは経験が足りないから、とか、いまはそこまで教育に時間が割けないから、といった理由で、いまは採用を見送りますね、という思いが込められています。社交辞令である場合も少なくないですが、もっと経験を積んできたらまたきてね、という意味もあるので、経験を積めばよさそうな理由でのお見送りなら、ギャップを埋めて数年後にまたチャレンジして頂ければと思います。

一次面接前

書類選考が通過となれば、一次面接を行います。

まずは、応募者にどのくらいの情報を提供するのが良いかを考えます。企業の立場としては、せっかく応募してきてくれたわけですから、自社により興味を持って貰いたい、という気持ちがあります。一方で、自分で調べて準備してきてくるような人であればいいなあとも思っています。また、提供する情報が多すぎると嫌がられるかもしれませんし、少なすぎるとちゃんと知って貰えないかもとも思います。いろんなことを考え、これぐらいがちょうどいいかな、という情報を応募者に伝えます。

また、一次面接前には、一次面接官とすり合わせの時間を設けます。応募者に対してどの程度の事前情報を伝えているかや、書類選考時の見立てを私から一次面接官に伝え、どのような面接をするのがよいかをディスカッションします。この辺りは聞いておこうとか、応募書類に書いてないけれどもこういう経験があるかも知れないので聞いておいて欲しいとか、そんなことを話したうえで面接に臨んで貰います。

一次面接後

面接後、一次面接官から第一報を貰います。結果がポジティブなのかネガティブなのか、まずは見立てを共有して貰い、簡単に面接内容も共有して貰います。

ここで、ポジティブかネガティブかの連絡は貰いますが、まだ結果を決めることはありません。できれば翌日、難しければ翌々日に、必ず会議の時間を設けて一次面接官と話をするようにしています。

一次面接官は一晩寝て、頭がスッキリした状態で、改めて面接を振り返ります。
面接当日は感情が多分に混ざってしまい、冷静に判断することができないものです。一旦気持ちを落ち着かせて考えてみると、面接当日とは違った視点で面接を振り返ることができます。

さらに一次面接官は、会議の場で話すことにより、混沌とした頭の中を整理することができます。その結果、面接当日とは全く違った結論に行き着くことも少なくありません。

また、私は聞き手として一次面接官の話を聞き、気になることを質問していきます。一次面接官は、面接当日の質疑応答の内容や考えたことを伝えることに精一杯ですし、話し漏れていることや気付いていない観点が必ずあります。整理された話を聞く立場であれば、面接全体を俯瞰的に捉えることができますし、面接官とは違った角度から面接を見ることができます。気になったことを一次面接官に質問し、面接官は質問を受けて、そういえばどうだったかなと思い出し、思い当たることを話していきます。

そのように話を進める中で、当初はネガティブに考えていたものの、ここを確かめてみたらあるいは採用に至るかも、となって面接通過になることもあれば、逆にポジティブだったものが、回答を複合的に考えた時に不安要素が多い、との判断になり、見送りになることもあります。

(後編は3月15日公開予定です)

筆者 田中 祐介
コンサルタント実績
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