マネージャー/
チーフアーキテクト
F.S 氏
マネージャー/
チーフアーキテクト
M.K 氏
「すべての人にインターネット」を掛け声に躍進を続けるGMOインターネット。1991年の創立以来、積極的なM&Aを繰り返しながら事業を急拡大。今や上場企業9社を中心に、グループ106社、従業員5278名を擁し、連結売上高1350億円(2016年度)に達する日本を代表するインターネット企業のひとつとなった。現在は「インターネットインフラ事業(ドメイン、クラウド、決済、EC)」をはじめ、「インターネット広告・メディア事業(SSP、DSP)」「インターネット金融事業(証券、銀行)」「仮想通貨事業(交換所、マイニング)」の大きく4本柱で事業を展開。ドメインやサーバ、SSLセキュリティの分野では国内シェアNo.1、GMOペイメントなどによるインターネット決済分野では決済金額年間約2.7兆円、GMOクリック証券などでのFX取引高では6年連続世界1位を誇っている。こうした既存事業での成功に飽き足りることなく、仮想通貨のマイニングなどの新規事業分野にもスピーディーに進出。グローバル展開にも意欲的だ。
そんな同社で、グループとして注力していく重要プロジェクトの成功を技術面から支援する、まさに “技術の精鋭部隊”といえるのが「次世代システム研究室」だ。そこにはどのような人が集まり、どのように仕事をしているのか? また、その中で今後求められる人材像とは? 同室の活動を牽引する2人のマネージャーと、現場で活躍する3人のメンバーに訊いた。
ミッションはあくまでも“ビジネスの成功”の支援
マネージャー/チーフアーキテクト M.K氏
「まず申し上げたいのは、研究室といっても、我々はR&Dだけをやっている部隊ではないということ。データ解析を含めた最新のテクノロジーを研究・開発するとともに、早急にビジネスに投入し、結果を出し続ける。それが我々のミッションです」。GMOインターネットの次世代システム研究室でマネージャー/チーフアーキテクトを務めるM.K氏は、同室の役割をこう説明する。
GMOインターネットは数多くのグループ会社を抱えている。そうしたグループ会社の中、あるいはグループ横断で注力すべきプロジェクトが立ち上がる際に、一歩進んだシステムやアーキテクチャの技術が必要とされるとなると、次世代システム研究室がプロジェクトに加わり、技術面から支援するわけだ。
「グループ内のシステム開発を受託するわけでもありません。あくまで目指すのは『ビジネスの成功』。だから、特定のシステムを納品して終わりではない。最初の事業計画の立案から入り込んで、技術の選定やシステムの設計・構築・プログラム実装・運用まで行い、プロジェクトが成功するまで関わり続けます」と、同じく次世代システム研究室のマネージャー/チーフアーキテクトであるF.S氏は語る。
マネージャー/チーフアーキテクト F.S氏
次世代システム研究室が関わるプロジェクトは幅が広いが、近年、特に多いのは、GMOインターネットグループ全体として最も注力しているFXや仮想通貨などのインターネット金融の分野。また、Z.com CloudのブロックチェーンのPaaS型サービスや、インターネット広告のアドテクといった分野でのプロジェクト参画も増えている。
「ただし、事業責任者は我々、次世代システム研究室ではありません。責任者はあくまでグループ会社の仲間で、我々は技術面を支援する立場。開発自体も、我々だけでなく、グループ各社の開発者と一緒に行うケースがほとんどです。また、行うプロジェクトにはもちろん、完全な新規プロジェクトではなく、既存のシステムをより良く改善したり、リプレースしたりといったものもあります」とM.K氏。各グループ会社とは上下関係はなく、あくまでフラットな関係で、「ビジネスの成功」を支援するわけだ。
GMOインターネットはベトナムに最先端の研究やサービス開発を行うGMOベトナムラボセンターを設けている。そこと連携し、先端技術の研究開発やシステム開発を進めることも次世代システム研究室のミッションだ。また、先端技術の研究開発では大枠のテーマを設け、代表者がテクノロジーの研究開発も行っている。現在のテーマはAI、ブロックチェーン、AR/VR。もちろん、代表者以外のメンバーも技術探求が強く、個々がトレンドの技術をウォッチして同室のWebサイト内のブログで掲載もしている。
(https://recruit.gmo.jp/engineer/jisedai/topics/)
国際色豊かなメンバー。データサイエンティストは研究者出身が多数
現在、次世代システム研究室に所属している開発者は約25名。大きく、システム開発を手掛けているエンジニアのグループと、ビッグデータの解析などを行うデータサイエンティストのグループに分かれている。エンジニアをマネジメントしているのがF.S氏、データサイエンティストをマネジメントしているのがM.K氏だ。エンジニアは、これまでシステム開発をバリバリやってきた人が中心。技術レベルは極めて高く、まさに精鋭が集まっている印象だ。一方、データサイエンティストは様々な分野の研究機関でデータ解析を活用した研究活動を行っていた、博士号所有レベルの人が多い。
エンジニア、データサイエンティストとも、海外出身の外国人も多く、国際色豊か。全体の3割ほどが外国人で、出身国もタイ、ベトナム、インドネシア、中国、韓国、ニュージーランドなど多岐にわたる。仕事は全て日本語で行う。
シニアアーキテクト D.L氏
次世代システム研究室に所属するエンジニアの1人が、シニアアーキテクトのD.L氏だ。現在は主に、GMOがグループ全体で活用するシステム基盤の安定化やセキュリティを担当している。
「2年前にグループのシステム基盤の大規模リニューアルを行っており、稼働後も引き続き、その機能向上や、グループ各社における運用の支援をしています。もちろんR&Dを行う部署でもあるので、『これからのビジネスにどんなシステムやアーキテクチャが必要になるのか?』といった研究もしています。例えば、サーバリソースを効率的に利用するためのアーキテクチャを考えるなどですね」
D.L氏は韓国の大学を卒業後、来日し、前職のSIerでは5年間、BtoBのマーケティングシステムの開発を中心に、AndroidアプリやWebアプリの開発、インフラ設計などを行っていた。転職し、GMOの次世代システム研究室に加わったのは2年前。「アプリケーションエンジニアとして、インフラをもっと効率的に使う研究をしたい、と思い、入社を決めた」という。
データサイエンティスト兼アーキテクト G.K氏
一方、データサイエンティスト兼アーキテクトのK.S氏とG.K氏は、2人とも前職は研究者。K.S氏はタイの出身で、以前は研究機関で植物の研究を、G.K氏は大学で材料の研究を行っていた。現在はGMOクリック証券のFXの収益改善のためのデータ解析を行っている。
「収益を改善するには、売上を上げるかコストを下げるかしかない。FXは商品がお金で、そのお金は銀行から仕入れるわけですが、レートが変動するため、下手に仕入れると大赤字になってしまう。そのリスクヘッジを、解析技術を使って行うわけです」とG.K氏は説明する。
K.S氏は半年前、G.K氏は2017年3月に入社。転職の理由を、「データサイエンティストにとってはデータが何より大事。データがたくさんあるところで解析の仕事がしたかった。GMOはFX取引の最大手で、豊富なデータを扱えるし、最先端の技術を持っているのが魅力だった」と強調。同様にG.K氏も、「ビッグデータやディープラーニングについては、アカデミックな研究では活用がまだ進んでいない。そうした分野で最先端の経験を積みたいと思った」と語る。
データサイエンティスト兼アーキテクト K.S氏
K.S氏は植物、G.K氏は材料の研究を行っていたということで、現在の仕事とは関連が薄そうにも見えるが、「データ解析のスキルは、研究対象が何であれ共通するスキル。確かに対象は異なりますが、大学で研究をしていても、新しいプロジェクトを始める時などは、最初に勉強が必要になる。特に苦労は感じなかったですね」(G.K氏)とのことだ。
次世代システム研究室での仕事については非常にやりがいが大きいと3人は口を揃える。D.L氏は「前職では社内に事業部がなかったので、システムの改善がビジネスにどう影響を及ぼすかが見えづらかった。しかし、今は自分が行っている研究の成果をシステムに取り込んで、実際のビジネスの成果にダイレクトにつなげられる。そこがとても面白い」と笑顔。K.S氏は「データが大量にあるので、それをどういうふうに解析するか考えるだけでワクワクする。スピード感が速いのもいい」、G.K氏は「研究は1年2年やって成果を出す世界だが、今やっている仕事では自分のやったことの成果が短期間で、数字ではっきり見られる。そこがモチベーションになりますね」とそれぞれ語る。
専門技術だけではなく、ビジネスに対する意識を持っている人材を求める
次世代システム研究室では現在、キャリア人材の採用を積極的に推進している。エンジニア、データサイエンティスト双方に共通して求める資質について、M.K氏は次のように語る。
「我々のミッションは、『テクノロジーをもってビジネスに貢献する』こと。それだけにビジネスに対する意識を持っていることを求めたい。技術にしか興味がないという人には、ウチの部署は合いません。また、GMOはあらゆる領域でNo.1のサービスを提供することを目指している。そこに共感を感じてくれることも必須ですね」
その上で、エンジニアでは、「何か1つでも特定の技術領域で強みを持っていることが重要になる」とF.S氏は言う。業務でも研究でも、これまで1つのことにどれだけ興味を持ち、突っ込んで取り組めたか、また、それによってどのような成果を出せたかを評価する。ただし、その特定の領域だけに固執してしまうのも問題。GMOは事業ドメインが広いので、いろいろな分野のプロジェクトに関わることになるためだ。
「変化を楽しみつつ、新しいことにどんどんチャレンジする柔軟なマインドを持っていることも欠かせません。なにか特定の領域でしっかりと成果を出せた人は、別の領域でも同じことができるはずです。新しいことは好きだけれども、どれもこれもちょっと囓っただけで中途半端という人も困りますね。自分からどんどん深掘りしていくタイプの人が向いていると思います」
これまでキャリア採用したエンジニアの出身は、SIerやコンサルティング会社、事業会社など多岐にわたる。「経歴が長くなくても、これまでやってきたことで突っ込んだ論文を書いているとか、意欲・ポテンシャルがあると判断した人にはジョインしてもらっています」とF.S氏は言う。
一方、データサイエンティストでは、「数理的バックボーンがしっかりしていること」を何よりも重視する。多様なデータを分析して、何が言えるかを導き出すには、高度な専門性が必須になるからだ。
「だからこそ研究機関で研究をしていた人が合うわけです。一般的なエンジニアの人に、入社後、数理モデルで博士号を取れるまでいってもらうというのはなかなか難しいですから」とM.K氏は説明する。
さらに、データサイエンティストとして仕事をしていく上では、「ビジネスやサービスの理解」「データ解析能力」「プログラミング能力」も必要とされる。数理的バックボーンを備えた上で、これら3つのうちどれか1つには強みを持っていてほしい、というのがM.K氏の要望だ。
「もちろん全部揃っていればベストですが、そういう人はなかなかいないと思うので(笑)。自分の持っている強みをベースに、その他の領域の能力も伸ばしていってほしい。いわゆるデータアナリストみたいな方は、ウチには合いません。専門的なバックボーンがなくて、レポートだけを書く、みたいな仕事はウチには全くありませんから」
技術をいかにビジネスに結びつけるかの感度が上がる
GMOインターネットの次世代システム研究室で働くメリットについてF.S氏は、「何度も言いますが、我々の役割は『ビジネスの成功を支援する』こと。技術を強みにしつつ、それをいかにビジネスに活かしていくか、ということに関する感度は、間違いなく上がると思いますね」と強調。M.K氏もそれに同意した上で、「業務もチャレンジングだし、それとは別に、個々の専門技術も磨いていける。入社から1年経つと、みんな驚くほど力が伸びますね。また、GMOでは、例えば機械学習についても、最先端のモデルをいち早く実際のビジネスに投入している。興味ある方には非常に面白いはずです。『博士号を取得したけれども、それを活かせる場がなかなか見つからない』という方にも、満足できる環境を提供できると思います」と自信を見せる。
入社後の教育についてはOJTが主体だが、データサイエンティストの場合は特に覚えることが多いので、採用者のレベルに合わせてビッグデータの解析技術などについて数週間のトレーニングを行う。「手取り足取り研修を行うようなことはないですが、チームで開発をするので、ポツンと取り残されるようなことはありません」とM.K氏。中途入社者に対しても入社式を行うので同期の人も存在するし、入社後1カ月、3カ月、6カ月、12カ月には人事が面談を行うなど、フォローアップ体制も万全だ。また、研究室というと皆、黙々と研究に取り組んでいるイメージはあるが、「かなり活発にコミュニケーションを取り合いながら仕事をしていますね。事業部やベトナムラボの人とやり取りをすることも多いですし。ワイワイガヤガヤした雰囲気です」とF.S氏は笑顔を見せる。
評価は四半期に一度行われるが、利益など数値目標の割合は少なめで、あくまで「プロジェクトの目標達成にどのように貢献したか」といった定性目標をメインに評価される。書籍を自由に購入できたり、椅子やパソコンを自分の好きなものを選択できたりと、エンジニア支援制度も充実。また、業務以外の自分の興味を持っている研究を行う際に、サーバをはじめとするGMOグループの持つ最先端かつ豊富なリソースを活用できるのも魅力だ。
ただでさえ技術力に定評あるGMOインターネットの、しかも精鋭が集まる研究室ということでハードルの高さを感じる人もいるかもしれないが、「先ほどF.Sが申し上げたように、すでに実績のある人しか採用しないわけでは決してない。ポテンシャルを感じる方も積極的に採用しています。ただ、興味があることややりたいことがあるのに現状、何もしていない、という人は厳しいですね。仕事に限らず、プライベートでもいいから、何かしら好きなことに取り組んでいる人には充分チャンスがありますよ。情熱とチャレンジ精神に溢れる人にいらしてほしいです」とM.K氏。さらにF.S氏も「テクノロジーを使って、自分たちで新しい未来を創る。それを楽しめる人と、ぜひ一緒に仕事がしたいですね」とエールを送る。2人の熱いメッセージに共感を覚えた人は、ただちに応募してみてはいかがだろう。
ライター プロフィール
- 荒濱 一(あらはま・はじめ)
- 1971年、東京生まれ。上智大学文学部教育学科卒。高校教諭、タイ・インドでの広告代理店勤務を経て、1998年からライターとして活動を開始する。現在、ビジネス(特に人材・起業)、IT/デジタル機器、著名人インタビューなど幅広い分野で記事を執筆するほか、広告コピー分野でも活躍。
- ◇主な著書
- 『新版 結局「仕組み」を作った人が勝っている』(光文社)(高橋学氏との共著)
『新版 やっぱり「仕組み」を作った人が勝っている』(光文社)(高橋学氏との共著)
リーベルコンサルタントから一言
最先端のテクノロジーを研究・開発するだけではなく、素早くビジネスに投入して結果を出すのが、GMOインターネットの次世代システム研究室のミッション。
システムを納品して終わりではなく、事業計画の立案、技術の選定、システムの設計・構築・実装・運用までと、ビジネスの成功まで関り続けられるのが大きな魅力です。
更に、特定の事業ドメインだけではなく、グループ横断で様々な事業ドメインの注力プロジェクトに参画するため、変化が楽しめ、挑戦意欲の高い方へ、強くお勧めします。