注目企業インタビュー

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デロイト トーマツ ウェブサービス株式会社

圧倒的なクラウド技術と、テクノロジーに携わる喜びを推進力に、高度化する企業ニーズに応える

代表取締役
国本 廷宣 氏
あらゆる企業が事業のIT 化やDXを進める現在、これに応えるべくデロイト トーマツ グループはITの強化を加速させている。その中でクラウドの利活用を担うのが、デロイト トーマツ ウェブサービス(以下DWS)だ。もともとクラウド技術を中核としたITベンチャーだったが、2021年にデロイト トーマツ グループに加わり、エンジニア集団としてその事業を支えている。そこで、DWSの代表取締役である国本廷宣氏に、同社の考え方や特色、人材についての考え方などを聞いた。

クラウドで成長、デロイト トーマツ グループの一員に

DWSは、クラウド技術に強みを持つエンジニア集団で、2021年にデロイト トーマツ グループに加わり、DWSとなった。まず、その経緯から見てみよう。

国本氏はもともとエンジニアとして、ITインフラなどに携わっていた。2009年にIT企業MMMを起業し、当初はスマートフォンのアプリケーション開発などを手がけていたが、まもなくクラウドに出会う。「初めてクラウドを知ったとき、革新的なバックエンドのプラットフォームが登場したと感じました。それまで携わってきたオンプレミスのシステムに比べ、柔軟性も俊敏性も圧倒的であることに衝撃を受けました」(国本氏 以下同)。

2012年にはAWS(Amazon Web Service)の台頭に伴って、全面的に技術をクラウドにシフト、2016年にはAWS認定パートナー(APNアドバンスドコンサルティングパートナー)となってビジネスの拡大をはかった。「クラウドを前提に、インフラからアプリケーションの開発や展開までお客様にフィットさせる、“クラウドネイティブ”を実現するエンジニアリング企業の先駆けの一つになったと自負しています」。

2021年にデロイト トーマツ グループから声をかけられ、グループに加わった (同グループのデロイト トーマツ リスクアドバイザリーの傘下となった)。社名もデロイト トーマツ ウェブサービスに改称した。
背景には、ビジネスの世界でITやDXが欠かせない時代に入り、クラウドがますますその存在感を増し、有力な基盤の一つとなったことがある。

「クラウドはお客様のビジネスに活かしてこそ意味があります。私たちの持つ技術力とデロイト トーマツ グループのアドバイザリーやコンサルティングを組み合わせることでビジネスにおけるデジタル変革を推進できます。デロイト トーマツ グループは、監査・保証、リスクアドバイザリー、コンサルティング、ファイナンシャルアドバイザリー、税務・法務の5つのビジネスを持ちますが、これらの部門の壁を越えて、多くの方々と連携でき、これまでにない可能性を開く力になりました」。

グループ傘下となったことで顧客には大企業が増え、顧客の経営上層部と直接意見交換する機会も多くなった。「特に大企業の場合、局所的な支援では効果が薄く、上層部と連携して組織全体に関わる必要がありますし、技術的にも大規模、要求レベルの高い案件が増えました。提供する価値の拡大とも言えます。これはエンジニア集団としてありがたいことだと感じています」。

監査などのセキュリティ基準の高い業務に携わっているファームであるため、より厳しいセキュリティ対応が求められる点には難しさがある。「ガバナンスやセキュリティの観点からツールなどは慎重に選ぶ必要があります。時には、グループの技術以外の方々に、そのツールの必要性を説明する責任も出てきます」。そのような一定の制約はあるものの、クラウドにおいてもセキュリティは欠かせない要素であり、むしろプラスと捉えている。

そして、変わらず引き継がれているのは企業文化である。DWSの行動規範である、More Professional、More Trust、More Funは、MMM創業当時からのもの。テクノロジー領域でのプロフェッショナリズムを大切にし、それによって顧客からの高い信頼を得る。さらに、一人ひとりのエンジニアがテクノロジービジネスを楽しいと感じ、それが知的好奇心に結びついていることを理想とするという姿勢だ。「デロイト トーマツ グループに誘われたときも、こうした企業カルチャーを持ち続けることにこだわり、それを土台にしつつ、シナジー効果を出したいと伝えました。うれしいことに、もともと当社とデロイト トーマツのカルチャーには親和性があって、それもグループに加わる一つの動機になりました」。

クラウド技術で、企業のDXに貢献

国本氏はクラウドを、「IT発展のいくつかのターニングポイントの中でも最も重要な要素の一つ」と考えている。クラウドファースト、クラウドネイティブと呼ばれる、クラウドを前提とした事業が増えると、インフラからアプリケーションまで、あらゆる技術がクラウドに関係してくる。

昨今DXに注力する企業は多いが、ここにもクラウドが果たす役割は大きい。「DXを、データおよびデジタル技術を活用してビジネス上の優位性を生み出すことと定義するならば、基盤やビジネスプロセスを構築するうえでクラウドは欠かせない基本となると思います」。さらに、クラウドに組み込まれたマネージドサービスを活かすことも企業競争力につながる。近年では生成AIの機能などがそれである。
企業がクラウドを導入し、DXを進めようとするとき、キーポイントとなるのは全社横断的に実施することだ。部門ごとに完結するやりかたで進めるのではPoCレベルの施策にとどまってしまう場合も多く、本格的な変革にはつながらない。

例えばDXをSIerに任せっきりになってしまうと、社内に知見が蓄積しないままにコストは発生する。「事業会社側にデジタル人材がいないとDXがスムーズにビジネスに反映されません。近年、事業会社がデジタル人材の採用に熱心なのもそこに気がつき始めたからです」。

そこでDWSではAWSを活用したシステムの内製化支援にも取り組んでいる。「実際に中堅保険会社が取り組むアジャイル開発を支援し、最終的には、その会社自身の開発によって二つの商用サービスをリリースしました。こうした、事業会社の開発そのものを支援するビジネスはこれからも増えてくると思います」。

クラウドネイティブを牽引する

DWSには現在約50名(2024年1月時点)が所属し、顧客の課題の抽出・分析・提案などに携わるオファリングやプリセールス、システム運用のコード化手法であるSRE(Site Reliability Engineering)、プロジェクト全体を統括し技術支援するCOE(Center of Excellence)、その他フロントエンドからバックエンドまでのエンジニアリングなどの職務を担当するメンバーで構成されている。
DWSが属するのはデロイト トーマツのリスクアドバイザリービジネスだが、デロイトトーマツ コンサルティング、有限責任監査法人トーマツなど、案件によってグループのさまざまなビジネスと連携し、業務を遂行している。

前述したようにクラウドはさまざまな技術の有力な基盤となり、クラウドネイティブも一般的になってきた。そのためDWSはクラウドに関係するあらゆる技術を担っている。「エンジニアにとっては得意な領域や経験が何であれ、クラウドに活かすことができます。当社にはインフラから入る人、アプリから入る人などさまざまな経歴のエンジニアがいます。また、私自身もそうでしたが、オンプレミスで積んだ経験もクラウドに転用できます」。

最近ではDevOpsや、コンテナ、サーバーレスなどMAD(Modern Application Development)領域を構成する要素技術に強みを持っている。「DevOpsが重視されるのは、開発と運用の分化をなくすことによってビジネスの俊敏性、フィードバックの頻度を高め、DX時代の企業競争力を高めることにつながるからです。当社はそれをテクノロジーとして定義し、運用するフレームワークも持っています」。
このほか、急速に発展した生成AIとクラウドを組み合わせてデリバリーする専用チームも組織した。

DWSはAWS認定パートナーであり、AWSでの実績は抜群だが、Microsoft Azure、GCP(Google Cloud Platform)、OCI(Oracle Cloud Infrastructure)といった他の有力パブリッククラウドにも携わっている。現在の大企業は、単一のクラウドに頼るリスクをヘッジしようと、マルチクラウド志向になっているからだ。

一方、働く環境という面でDWSを特徴づけているのがリモートワークの積極的な導入である。「本格的にリモートワークを取り入れたのは2010年からです。以来、リモートワークをうまく機能させるために試行錯誤を重ねてきました」。

そのポイントは大きく二つある。一つは暗黙知を形式知化、可視化することだ。「リモートでは、空気感、トーンなどが伝わりにくい。ですからこれを見える化することに力を入れ、社員の意見を反映させながら改善を続けてきました。APIと連携して自動でアクティビティが可視化できるしくみなども作りました」。

もう一つは性善説で発想することだ。「直接会えないからといって監視するような考え方では逆効果です。当社の行動指針の一つ、More Trustにもつながる考え方ですが、互いの信頼を大切にする発想で手法、ツールなどを開発しています」。

求めるのは自ら走り、技術のおもしろさを探求できる人材

DWSではどのような人材を求めているのだろうか。

「自走力があり、かつ知的好奇心の強い人材ですね。私たちは性善説、信頼関係を基盤にし、リモートワーク主体に仕事をしているので、自ら走ろうとする気概が欠かせません。今の状況、課題、考える解決方法などを自ら発信すれば、担当領域を問わず誰もが助けてくれる風土があります。社内にはさまざまなチームがあり、いろいろな角度から意見や情報をもらえますから、自走力は優れたアウトプットにつながります」。

そして何よりテクノロジーが好きであることだ。テクノロジーのおもしろさ、楽しさを感じる心を大切にしている。「ですから逆説的に言えば、現時点における知識セットや経験はそれほど重視していません。それよりも常にテクノロジーに関心を持ち、そのおもしろさを感じ、知識をアップデートしていける人であることを期待しています」。

自発的なものも含めて毎日のように何らかのテーマで勉強会が開かれ、多くの社員が参加しているのも、こうした社風の影響だろう。企業として必要な技術を学べるように業務の一環として教育研修を実施するなど、技術者への投資にも力を入れている。

さらに、国本氏をはじめ、クラウドの世界の技術コミュニティでの活動をおこなっているメンバーも多い。企業を超えた横の交流も多い。

組織はフラットで、階層的ではない。キャリアアップの方向としては、エンジニアとして技術力を高めていく、プリセールスなど顧客の課題解決やコンサルティングに近い領域を担う、プロジェクトを横断的に見て技術支援するなどさまざまな方向があるが、待遇・評価は平等だ。ポジションではなく、個人の市場価値を反映した待遇なので、エンジニアの収入がマネジャーの収入を超えることも珍しくない。
リモートワークの可能性を追求してきたDWSだが、社員同士のコミュニケーションをはかるリアルなしくみもある。

「年に一回、社員が合宿するイベントがあります。コロナ禍では中断せざるを得なかったのですが、先頃、復活しました。ハッカソンのような形でチームに分かれて、さまざまな技術アイデアを披露するなど、社員交流の場になっています。また日常的には、各種のサークル活動も盛んです。当社は掛け値なしに社員同士の仲が良いのが特徴ですね」
クラウドを中核とした高い技術力、4大ファームの一員としての総合力が一体となって、DWSは次の飛躍に向かっている。国本氏は、将来は100名以上の組織を視野に入れているという。さらに多くの人材が活躍する舞台となりそうだ。

ライター プロフィール

織田 孝一(おだ・こういち)
1959年生まれ。学習院大学法学部政治学科卒業後、広告制作会社および人材採用サービス会社の制作ディレクターを経て、1989年にライターとして独立。ビジネス誌などの他、企業広報・採用関連の執筆も多い。現在注力しているジャンルは、科学技術、IT、人材戦略、農学、デザインなど。

リーベルコンサルタントから一言

デロイト トーマツ ウェブサービスは、転職者の方にご紹介すると凄く志望度が高まる企業でして、デロイトグループとはいえ何がそこまで刺さるのか?私どももそれを知りたくお話しをお聞きしました。
文字数の関係で書けませんでしたが、良い会社にするための工夫をたくさんお聞きすることができました。特に印象に残っているのが「モチベーションファースト」です。技術者のモチベーションを第一にアサインやキャリアを考えておられるとのこと。フルリモートでも社員の方々が自律的に、モチベーション高く働いておられる源泉はここにあるんだろうなと思いました。
More Professional、More Trust、More Funの創業ポリシーを貫き、更なる成長を遂げると確信できる注目度の高い企業です。

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