注目企業インタビュー

リーベルが探る、注目企業の強みと求める人材像。採用現場の生の声をお届けします。

株式会社スリーシェイク

インフラエンジニアリングを守りから攻めへ。Toilを削減するサービスを提供し、イノベーションを促進する世界を創る

代表取締役社長
吉田 拓真 氏
Sreake事業部
佐藤 慧太 氏
Sreake事業部
小渕 周 氏
ITインフラ分野はクラウドの普及によって大きく変化した。“守り”のイメージが強かったITインフラ分野にSREをはじめとする手法が登場し、革新的で信頼性の高いインフラ管理やサービス運用が可能になってきた。この潮流をリードする企業の一つとして、“攻め”のインフラエンジニアリングを実現、成長しているのがスリーシェイクである。同社創業者で代表取締役社長の吉田拓真氏と、Sreake事業部の佐藤慧太氏、小渕周氏、HR本部の越智優太氏にこれまでの経緯、事業内容、求める人材などについて聞いた。

※法人名、組織名、役職およびインタビュー内容は取材当時のものです。

SRE登場前から、SRE的視点でインフラに携わる

スリーシェイク起業のきっかけは、DeNAのインフラ系エンジニアを経験した吉田拓真氏が友人に頼まれて仕事を手伝ったことである。「かつてインフラ構築には多額の費用がかかりましたが、AWSなどのクラウドサービスが登場して以降、スタートアップ企業も含めて簡単にインフラを作れるようになりました。アプリ系エンジニアもクラウドを利用して次々にサービスを立ち上げるようになったのですが、インフラレイヤーの経験が浅いことで、障害やコストの肥大などの課題をよく耳にするようになりました。その頃、noteの創業メンバーの一人である友人から相談を受けたのが最初です」。

代表取締役社長
吉田 拓真 氏

個人的なつながりでインフラ系業務を手伝ったのだが、予想外に多くの報酬を得ることができた。これならインフラレイヤーでのビジネスが成立すると考え、吉田氏は2015年、インフラ系スタートアップ、スリーシェイクを設立した。

最初は、顧客となった企業からの紹介で新規顧客を増やしていった。社員が5、6人になった2018年、GoogleからSRE(Site Reliability Engineering/サイト信頼性エンジニアリング)という概念が提唱された。「サイトやサービスの”信頼性”を機能の一つと捉えて、ソフトウェア技術や自動化を駆使して向上していくこと。この発想を知って、これは僕らがこの3年ほどやってきたことと同じだ、と、驚くとともに我が意を得た思いでした」(吉田氏)。

従来のインフラ技術者は、仕様書に従い、ソフトに頼るより労働集約的業務に頼るのが普通だったが、スリーシェイクでは早くからGoやPython,IaCなどを使って問題を解決してきた。SREの概念が出てくる前から、SRE的アプローチを実践していたと言える。

「お客様に創業者が多かったせいか、私たちはインフラを経営的視点で見ていました。これまでのインフラ企業だと、どうしても発注元の企業やエンジニアの視点になりがちでしたが、『プラットフォームを利用するのはエンドユーザー』という視点で考えていた。これはGoogleの発想に近かったと思います」(吉田氏)。

これを機に、スリーシェイクの事業の根本が固まっていった。SREを普及させ、労働集約的な業務を極力削減し、顧客企業自身がエンジニアリング内製化できるように伴走、支援する。これをサービスとして提供しようと始まったのがSreake事業である。

それは従来のディフェンシブなインフラ・エンジニアリングとは異なる、非常にオフェンシブなインフラ・エンジニアリングの実現だった。それはインフラ・エンジニアリングの労苦(Toil)を減らし、光の当たる職務に変えることでもあった。

一口にSREと言っても概念は広く、企業によって捉え方に差がある。スリーシェイクの場合、SREのためには組織づくりの相談からアプリケーション開発、運用、さらには人材サービスに至るまで、総合的に支援している。例えば最近では、全社で部門横断的にクラウドを用いるため、CCoE(Cloud Center of Excelence)と呼ばれる組織を置く企業もあり、設立段階から支援をしている。またデータベースに特化して信頼性を確保するDBRE(Data Base Reliability Engineering)を必要とする企業もあり、こうした要望にも応えている。

Sreake事業から新しい事業が発展

このSreake事業を柱に、スリーシェイクは次々に事業を立ち上げた。新規事業に乗り出す判断をするとき、スリーシェイクでは二つの条件を定めている。
一つはエンジニアが自らの“手触り感”で理解でき、興味を持続できる領域であること。「業界を観察し、自分でもいろいろ手を出しては失敗してわかったのは、サービスは15年~20年をかけなくては定着しないことです。それには、ちょっとやそっとのことでは撤退しない覚悟が必要。だから需要先行のマーケットイン的手法は取りません。自分にとって興味があることが肝心です」(吉田氏)。
もう一つの条件は、Sreake事業から派生する事業であることだ。Sreake事業を補完、発展できれば相乗効果も生まれる。
この二つの条件をクリアしてできたのが次の事業である。

Reckoner事業

Reckonerはノーコード型のETLツール/データ連携ツールである。スリーシェイクには外部サービスとのAPI連携やデータ基盤構築の依頼も多かったが、データ領域は要件が非常に流動的で変更が頻繁に起こることから、ノーコード型ツールを開発した。これにより、現場や情報システム部門の人員で変更できるようにするとともに、エンジニアの負担も減らすことができる。プログラマブルな業務に慣れていないエンジニアの多い企業にとってはノーコード型のツールが役立つことも多い。

Securify事業

スリーシェイクは、もともと大手IT企業に対して脆弱性診断サービスを実施していたが、2020年頃から脆弱性診断の要望が急増した。そこで企業が簡単に情報漏洩リスクをセルフチェックできるSecurifyを開発/提供している。「セキュリティエンジニアが市場に少ない状況で、継続的なセキュリティ対策をしていくことはコストもかかりますし、企業にとってもエンジニアにとっても負担が高い状況です。Securifyによって少しでもここを解消できれば、セキュリティエンジニア自身もより難易度の高い課題に腰を据えて取り組めるのではないかと考えました」(吉田氏)。

Relance事業

フリーランスのITエンジニア紹介を中心とした、人材サービス事業である。「私たちがインフラ内製化に取り組もうとしても、お客様から、開発エンジニアが社内にいないから時期尚早、と言われることが度々ありました。優秀なフリーランスエンジニアがたくさんいることはわかっていましたから、それなら、どんどん紹介していこうと考えたのです」(吉田氏)。人材サービス業界者の教えを受けながら事業を育てた。紹介したエンジニアは高い評価を受け、事業は軌道に乗った。それに付随して、最近では企業の事業を人材面から強化を図ることを目的にHRBP支援のサービスも開始したり、直近では企業とフリーランスエンジニアを直接的につなぐマッチングプラットフォームのリリースを予定していたり、さらなるサービスの拡充を進めている。

SREを総合支援し、Toilを削減するサービスを提供

スリーシェイクの仕事の強み、魅力は主に次のような点に集約される。

まず、基本的にオーナーシップを持って取り組める案件しか手がけないことだ。つまりスリーシェイクのエンジニア自身がモチベーション高く取り組めるかを重要視する。そして「顧客とともにいいサービスを作っていく」という観点で、スタートラインから顧客に伴走しながら課題解決に取り組んだり新しい技術に共に挑戦するのである。

Sreake事業部
佐藤 慧太 氏

総合性も大切にしている。Sreake事業部には複数のチームが属し、SREを総合支援する。例えばインフラだけでなく、アプリケーションチームと一体になって動くことで、新規サービス開発、技術負債の返済なども含めて顧客の相談に乗り、より効果的なアプリケーション開発や運用を支援することができる。

こうしたやり方はToilの削減にもつながる。スリーシェイクのビジョンは「インフラをシンプルにしてイノベーションを起こす」であるが、それはToilの削減と一体のものなのである。言い換えれば、スリーシェイクのあらゆる事業の根幹には、「Toilを削減できるサービスを適正価格で提供する」という使命感が息づいている。

「お客様を自走できるようにすることは、自分が社会を良くしているという実感にもつながります。最終的には私たち自身の負担も小さくなり、仕事の質が高まる。これは当社でエンジニアとして働く喜びだと感じます」(Sreake事業部 佐藤慧太氏)。

顧客にはNTTデータ、トヨタ自動車など大企業も多い。スリーシェイク自体も現在140名を超える規模に成長したことでドラスティックな開発がしやすくなった。「社員のスキルアップ、キャリアアップなどもしやすくなりました。」(Sreake事業部 小渕周氏)。

Sreake事業部
小渕 周 氏

このほか、Kubernetesなど、他ではなかなか学べない技術を学べることも魅力だろう。

「スペシャリストがいることに加え、入社後の基礎教育プログラムやドキュメント類も豊富にあるため、学習できる環境はあると思っています」(小渕氏)。佐藤氏はスリーシェイクの技術顧問に、Kubernetesのエキスパートである青山真也氏が就任したことも魅力だったと語る。「前職でもKubernetesには触れていましたが、一人で学んでいたので、あらためてしっかり勉強したいと思いました」(佐藤氏)。

社員が関心を持ったテーマについて自ら探求する社風も魅力の一つ。「社員が自主的に開催している勉強会がたくさんあります。私の場合は技術書の輪読会の世話役をしています。ほかにもディベロッパー・リレーションズを手がける、ブログを書くなども自主的に行われています。海外書籍の翻訳プロジェクトも進行中です。コンテナ・セキュリティについての翻訳イベントも行いました」(小渕氏)。

技術への興味、自立的な行動が社風

スリーシェイクが求める人材について尋ねると、次のような言葉が出てきた。「技術が好きであること。その技術を使って自分がしたいこと、お客様がしたいことを実現したいという人ですね。自己研鑽の面から言うと、例えば休日でも何かしら気になる技術について調査したり実際に触ったりしているようなタイプ。つまり仕事での必要性にとどまらず、自分が好きで、仕事で利用するものとは別の技術でもいいので、何かしらの ” 技術 ” に関心を持って勉強しているような人。そういう人は入社後の立ち上がりも速いと思います」(HR本部 越智優太氏)。

「ある程度の技術レベルの高さは、お客様を支援するためには必須です。また、私個人の意見ですが、アプリケーションで言えば開発だけでなく、運用フェーズまで実施した経験もほしいところです」(佐藤氏)。

現状の改善に意欲のある人にも期待している。「技術に詳しく、改善を切望しながら、これまで所属していた企業ではそれが許されず、フラストレーションが蓄積しているような人は期待できます。力を発揮できると思います」(佐藤氏)。

中途入社したエンジニアの動機は多岐に渡る。「手作業が多く、それを解消したいとずっと考えていた人が、Toilをなくすという理念に引かれて来る、ずっとアプリケーションの新規開発を手がけてきたが、保守やエンハンスメントにも携わりたい、などさまざまです」(小渕氏)。

柔軟な勤務体制と知を刺激する環境

働き方としてはリモートワークがメインで、必要に応じて対面でのミーティングなどが実施される形である。裁量労働制なので、担当業務や顧客にもよるが、業務時間は柔軟に調整できる。

オンラインで開催している勉強会「SRE Tech Talk (通称 SRETT)」を3、4カ月に一回のペースで実施しているが、今年8月には初めてオンラインと併用で、オフラインで開催した。

このほか、技術顧問である青山真也氏、小松享氏(うたもく氏)それぞれを囲む会も行われ、最新の技術トレンドなどについて知見を深める機会となっている。

今、スリーシェイクへの応募を考え始めたエンジニアに対してはこんな期待の声が寄せられた。

「一緒にToilをなくし、弊害のあるシステムをなくし、社会を良くしていきたい。子供たちの世代により優れた社会を残したいと思える人にとってここは良い場だと思います」(佐藤氏)。

HR本部
越智 優太 氏

「スリーシェイクの社名が浸透してきていることを感じます。エンジニアの技術の高さが認知されていることが大きいですね。自分もそれをリードしていきたいと思う人に仲間に入ってほしい。個人的にはGoogle Cloudで生成AIを扱ってみたいという人に来ていただければうれしいですね」(小渕氏)。

「人事の視点から言うと、おそらく終身雇用の時代は終わっています。ですから特定の技術に専念したいという特定技術へのプロフェッショナリズムがなくても、技術者として生きていきたいというゼネラリズムのも一つの生き方でかまわないと思います。スリーシェイクではさまざまな技術に携わることができます。つまり将来の自分探しを兼ねて当社で働くのも一つのおもしろい選択肢であると思います」(越智氏)。

最後に吉田氏はこう展望を語った。

「スリーシェイクの起点はSREですが、そこを超えてクラウドネイティブ技術のエバンジェリスト集団となっています。インフラ、SRE、クラウドネイティブ技術、機械学習、生成AI、さらにはスマホアプリ開発などまで、難易度の高い開発はみなスリーシェイクが手がけているといった『頼られる存在』になりたいですね。さらに言えば、世界のビッグサービスを裏で支えているのは、スリーシェイクだというくらいになれたらと思います。そんな将来の実現に向け、ぜひ私たちの一員となってチャレンジしてくださる方をお待ちしています」。

ライター プロフィール

織田 孝一(おだ・こういち)
1959年生まれ。学習院大学法学部政治学科卒業後、広告制作会社および人材採用サービス会社の制作ディレクターを経て、1989年にライターとして独立。ビジネス誌などの他、企業広報・採用関連の執筆も多い。現在注力しているジャンルは、科学技術、IT、人材戦略、農学、デザインなど。

リーベルコンサルタントから一言

業務領域の課題解決を図るSaaS系ベンチャー企業がひしめくなかで、インフラ領域の課題解決にフォーカスし事業を拡大しているのがスリーシェイクです。
「社会に蔓延る労苦〈Toil〉をなくすプラットフォーマーになる」というポリシーのもと、インフラにおけるトイルをなくしたい、エンジニアの労苦がなくてもインフラを維持できるようにしていきたい、インフラをシンプルにしてイノベーションが起こりやすい世界を作りたい、そしてその結果として社会活動を根底から変えたい・・・そういった思いでサービスを拡充しています。
Googleが概念を打ち出す前からSREを事業としていた同社。先見の明のある同社が更にどう成長し世界を変えていくか。これからの成長が非常に楽しみな会社です。

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