人材の流動化が進む中で
転職がしやすい時代になってきました。特にITエンジニアの市場価値は、ここ数年で大きく向上。高いオファー金額での転職事例も、以前より確実に増えています。
理由の一つは人手不足。かつては即戦力のミドル層だけを採用していた企業も、採用に苦戦した結果ポテンシャル層からベテランまで幅広く採用し始めました。少ないターゲットに拘らず、多様な人材を受け入れようと企業側の採用意識も大きく変わっています。
加えて、各社でのIT投資意欲が活発になっていることも理由の一つです。デジタルニーズの高まりによって、事業会社からコンサルティングファームまで、IT経験者の採用にかつてないほど注力しており、新規事業の立ち上げや既存業務の効率化などに取り組んでいます。
その一方で、実はこれまでにないほど短期転職者も増えてきました。以前の転職から半年~1年程度のスパンで、再度転職をされる方が増えているのです。
定着性に対する根強い懸念
短期転職も、一様に悪いわけではありません。入社してみないと分からないこともありますし、チャレンジをしてみた結果上手くいかなかったということもあるでしょう。入社後にギャップや違和感を抱えたままストレスで心身が疲弊していくようなら、早めに転職を検討されることをお勧めします。
一方で、短期転職者がどんなに増えても、企業側が向ける視線はシビアです。定着性に懸念がある人材の採用には外資系企業であっても二の足を踏むケースが多く、日系の大手企業からは特に厳しくみられます。また理由が明確であれば不問とされるケースも多いのですが、最近は短期転職へと至った理由が不明瞭というケースが多く、転職者自身を困らせています。
実は「なぜ短期転職になってしまったのか?」より、「なぜその会社にそもそも転職したのか?」の方が重要視されます。当初の転職したモチベーションが明確で、その結果としての短期転職というなら、企業側も考慮してくれるのですが、そもそもの転職理由が不明瞭というケースが最近は散見されています。
意義のある転職をするべき
理由は、受け身での転職活動にあります。
ダイレクトスカウトを受け、話を聞いてみることで興味を持って転職するまでは良いのですが、入社後に思わぬギャップや問題が多数発覚。転職前に目的やリスクなどを検討すること無く決断することが、結果的に短期転職へと繋がるという事例が多くなっています。
想定外の企業からオファーを受けて、心が揺らぐこともよく分かります。ただ、後から振り返って見て、自身にとって意義のある転職をするべきだと強く思います。
なぜ転職をしたのかと聞かれ、「魅力的なオファーが来たから」や「何となく興味を持って」と回答してしまうようでは、貴方の意思がない受け身でのキャリア形成と言えるでしょう。ダイレクトスカウトは魅力的ではありますが、それはあくまで企業側の視点です。貴方自身がキャリアを考え、意義のある転職をして欲しいと思います。