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第1128章
2023/07/21

受け入れる企業側に立って求人を見る

どんな業界、どんな業務であってもIT活用の需要は高まっており、その一方でエンジニアが不足していますから、IT業界における転職は売り手市場が続いています。

転職サイトで目にする求人票の要件を見ても、「開発経験一年以上」「第二新卒OK」と、エンジニアとしての経験年数が短くとも受け入れてくれる企業も増えています。ただ、実際に転職活動を進めると、求人票の要件を満たしているにも関わらず、面接が通らない、内定が出ないということも少なくありません。それは何故でしょうか。

求人票の人材要件を緩くするのは、応募者の母数を上げる手段の一つでもある

求人票に記載されている人材要件の多くは、入社後に任せたい業務内容と紐づけて記載されていることが大半です。例えば、ECサイトの開発を行うポジションであれば、「Web開発経験」、「JavaScript、HTML、CSSでの開発経験」等がよく記載されています。

ただ、中には「何かしらのシステム開発経験があれば」等、かなり要件を緩く記載している求人票もあります。こういった求人票が出る理由は、文字通り、とにかく何の言語でも良いから開発経験のある人材が欲しいという意図もありますが、同時に、要件を下げることで間口を広げ、即戦力になり得る人材に会える機会を増やしたいという意図もあります。

そのため、要件のハードルが低いからといって、必ずしも書類選考や面接が通過するとは限らないというわけです。

受け入れる企業側に立って求人を見る

さて、求人票に記載されている要件が文字通りではない場合があるならば、求人票をどのように見れば、自身の経験、スキルに合うかどうかを判断できるかが気になりますよね。

見極める手段の一つとしては、要件ではなく、業務内容を見ることです。

例えば、上記で挙げたECサイトの開発を行うポジションの場合、開発で使用される言語がVB.net、Java、C#であれば、今までは基幹システムの開発がメインだったとしても、基幹システム開発で使用していた言語が要件と同じであれば、受け入れる企業としては、入社後にすぐ一人で実装できるだろうというイメージを持ちやすいです。
また、開発をオフショアに任せるような企業であれば、Web開発をしていなくとも、上流工程の経験、リーダー経験があることで、即戦力として活躍することが可能と判断します。

更に、要件を満たしていなくとも、業務内容で見れば経験・スキルとの親和性が高く、歓迎要件を全て満たしている場合には、一度面接で会って詳しく話を聞きたいと思う企業も少なくありませんから、必須要件だけでなく、業務内容&歓迎要件で応募するか否かを判断するのもアリだと思います。

いずれにしても、受け入れる企業側に立って、企業が入社する方に何を期待しているのか、任せたいと思っているのか、受け入れる側として何を懸念に思うのかを考え、求人票を見て頂くことがポイントです。

「フルリモートOK」も要注意

ちなみに最近だと、求人票に「フルリモートOK」と記載されていることも増えてきますが、こういった働き方の部分も、受かりやすい・受かりにくいを求人から判断する指標の一つになり得ます。
というのも、実はフルリモートOKとある求人は要件が厳しい場合が多いのです。
なぜなら、受け入れる企業側としては、「フルリモートOK」=先輩社員からサポートがなくとも自分で調べて動ける方、という考えが前提にあることが多いためです。

勿論、何のサポートもなくリモートで勤務が出来るとは企業側も思っていませんが、フルリモートで働くということは、教育係である社員とリアルタイムで連絡が100%取れる環境ではないわけです。何か困った場合には、自分から先輩社員に聞くなり、自分で調べるなりの行動が出来ることが必要です。

つまり、企業が任せたい業務と、入社した方が持っているスキル・経験とのギャップが大きい場合、入社者によっては、余りに分からないことが多すぎて何に自分が困っているかが分からない、といったことや、何をどう調べれば分かるようになるのかが分からない、といった事態が発生してしまいます。また、最悪の場合、入社した方と一緒に働いている既存社員の方にしわ寄せがきてしまい不満を生んでしまうことにも繋がりますから、企業側としては、フルリモートOKとした求人の採用については特に慎重にならざるを得ません。
 
そのため、「フルリモートOK」の求人票こそ、必須要件のレベル感がどれくらいかを正確に把握する必要があります。そして、もし必須要件のレベル感が低い場合、業務内容と必須要件のギャップが大きくないかは是非チェックして頂くことをお勧めします。

求人票の要件だけでなく、業務内容、働き方も要チェック

中途採用は基本的に即戦力性が重視されるため、転職を成功させるためには、いまの経験・スキルと希望する業務とのギャップや、理想とするキャリアと現状とのギャップを理解し、それをどう埋めていく必要があるかを理解することがスタートとなります。

逆に言えば、転職活動が上手くいかない場合の多くは、それらのギャップが大きすぎることにあることがほとんどのため、そのギャップを理解する方法の一つとして、企業が出している求人票を上手く活用してください。

筆者 明神 江里子
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