キャリア形成におけるエージェントの位置づけ
こんにちは、ケンゾウです。読者の皆さんは、主治医と呼べるお医者さんをお持ちでしょうか?主治医とは、いわば「かかりつけのお医者さん」のことで、体調不良の際に最初に相談する医師のことです。患者さんの過去の病歴や体質、更には親類の病歴なども把握しており、患者さんのことを良く理解したうえで治療方針を考えてくれます。また、必要に応じて専門医も紹介してくれます。
なぜこのような話を書いているかというと、キャリアを積んでいく上でも、主治医のような役割を果たしてくれる信頼できるエージェントを持つべきだと、個人的に考えているからです。(ここでいうエージェントとは、人材紹介会社のコンサルタントやサーチファームのヘッドハンターのことを指します)
私達のようにプロフェッショナルとして仕事をしている人間からすれば、何度かの転職を重ねてキャリアを作っていくことは普通のことですし、私がキャリアをスタートさせたエンジニアの世界でも、以前と比べるとはるかに転職が一般的になっていると思います。特にソフトウェア技術者やシステムエンジニアについては、人材の流動性がかなり高くなっていると思います。
もちろん、仕事を通じて得た人脈を活用して自分で転職先を見つけるということでも良いでしょうし、ネットで求人案件を検索して応募するのでも良いと思います。ですが、信頼できるエージェントを通じて得ることが出来るものには、単なる案件情報以上のものがあると思いますので、そのあたりについて書いてみたいと思います。
エージェントの価値
それでは、エージェントの価値とは何でしょうか?私は若い頃は、どれだけ良い求人案件を持っているか、もっと言うと、表に出てこないオイシイ求人情報を持っていることがエージェントの価値ではないかと思っていたのですが、実際には、エージェント間での情報量の差はそれほど多くないと感じています。(CEOのスカウトのようなごく一部のヘッドハンティング案件は別ですが、それらの対象になるのは一部の方のみなので、ここでは対象外にさせていただきます)
個人的には、エージェントの方に対して、それ以上に価値を感じる部分として以下の2つがあります。
(1) キャリア設計に対するアドバイス
(2) 転職市場の動向に関する情報提供
冒頭で「主治医のような」エージェントと書いたのは、主に(1)に関する部分なのですが、「転職は生涯でこの一度きり」と決意が硬い方にはあまり関係ないかもしれないのですが、何度か転職する可能性があるという場合には、中期的な視点も持った上で転職先を考えていく必要があると思うのです。というのも、今回の転職でどんな職種・ポジションを選ぶかによって、その次の転職先やキャリアというのが、ある程度決まってくる部分があるからです。そういった中期的なキャリアデザインというのは、自分の意志だけでは設計しづらい部分があり、実際に世の中でどんな経歴のどれくらいの年齢の人にはどんな求人情報があるかという「現実」を知らないことには、絵に書いた餅になってしまいます。
また、自分の性格や強み・弱みをよく理解してくれているエージェントの方であれば、自分が気づかなかったようなキャリアパスや、他のコンサル卒業生の興味深い事例などを提示してくれることもあります。また、同じキャリアパスでも、私の性格と転職候補先の社風を考えると「A社の方が合うと思いますよ」といったアドバイスを貰えることもあります。
こう書くと、医者の不養生じゃないですが、現役コンサルタントがコンサルティングを受けているような状況なのですが、優秀なエージェントは、まさに「コンサルタント」なわけです。但し、そういった付加価値を期待できるエージェントの方というのは、沢山いらっしゃるわけではないので、あくまでも、主治医になってもらえるような信頼できるエージェントの方と出会えればという事なのですが、個人的には、終身雇用が崩壊している現代においては、信頼できる優秀なエージェントというのは、時間と手間をかけてでも見つけておくべきパートナーなのではないかと思っています。
上記の「(2) 転職市場の動向に関する情報提供」については、次回で書いてみたいと思います。