COLUMN
コラム:転職の技術
第1106章
2023/02/10

転職に失敗しないために

昨今、特にIT業界は人材不足により現在も売り手市場が続いています。また、以前よりも転職がしやすい環境や風潮もあるため、人材の流動が増加している状況です。年功序列・新卒一括採用・終身雇用という従来型の雇用制度はまだまだ残っていますが、私が社会人となった15年前よりも人材の流動がとても増えていると感じています。その一方で、転職を少しインスタントに考えてしまう点には注意も必要です。

転職について真剣に相談できる人を持つ

日本において転職はエージェントを介して実現されている人の割合が多く、とある大手企業の人事のお話しですと、中途採用全体の60%以上はエージェント経由での入社で、他はホームページ等からの直接応募や社員紹介、ダイレクトスカウトなどでの入社の様です。以前に比べるとダイレクトスカウトの割合が伸びている様ですが、それでもダイレクトスカウトでの入社数は全体の10%~20%くらいとのことでした。

エージェント経由の場合は、面談や電話、メール等での相談というステップが入るため、転職について他者に話すことはできますが、ダイレクトスカウトでの転職活動は個人活動になるため、その場合は真剣に転職について話せる第三者を見つけた方が良いと思います。同じ会社の人ですと転職活動をしている情報が漏れてしまうリスクがありますし、インターネットなど全く面識の無い匿名のアドバイスだと信憑性に懸念があります。どの手法で転職活動をするにしても、まずは真剣に相談できる人を探してください。もし今現在、転職をして失敗したと感じられているのでしたらなおさら相談できる人は大切です。

エージェントに相談するとすぐに転職活動をしなければならないと思っている方も多い様ですが、私の場合は支援期間を定めておりませんので、1年や2年など長期でご相談を受けているケースも良くありますので安心してご連絡ください。

有名企業であっても自分に合うかの冷静な研究は必要

人材の流動化が進んでいることによる短所の1つとして、1年以内の短期転職の相談を受ける機会が少し多くなりました。短期転職での相談ですので、入社後に想定と異なっていたり、条件が違っていたり、入社前は許容できるかなと思っていたことがやはり無理だったりなど、何かしらの理由があります。もちろん採用した会社側の問題もあるのですが、失敗されてしまった方の傾向として多いのは、業界や企業の研究が少し足りない状態で転職を決められてしまっていることが多い印象です。

例えば、ダイレクトスカウトなどの媒体で企業から直接連絡が来て、まずはカジュアルに面談ということで面談をして、何となく良さそうということでそのまま面接に進み内定。そして回答期限を定められてしまい、他の企業の選考も受けて比較することが時間的にできずに勢いで決めてしまったというパターンです。事前に業界や企業を研究し、長所も短所も理解したうえで決めるのであれば良いのですが、研究不足の状態では失敗の危険性が高くなってしまいます。誰もが知る有名企業であったとしても、あなたにとってのマッチ度はどのくらいか研究する必要があります。

例えば、同じ業界や競合他社で一見ではどの企業も変わらない様に見えても、力のある個人が集まることで価値を出すことを重視しているのか、個人ではなくチームで価値を出すことを重視しているのか、結果を最重視するのか、結果と過程のバランスを重視するのか、厳選採用か多少離職者が出ても幅広く採用しているかなど、同じ様に見える競合他社でも企業のカルチャーに実は違いがあります。

私は、人事からの情報やこれまでの入社者のパーソナリティの傾向から、この企業は何を重視しているのか、どの様な価値観の人がマッチするのか(入社後に楽しそうに連絡をくれるなど)の情報と経験を持っています。

企業のクチコミで判断される方も多いかと思いますが、何か1つの情報源で判断されるのではなく、その企業に勤務している社員の情報、同業他社にいる人の情報、エージェントなど相談者の意見、クチコミ、などの様に複数の情報を研究して長所と短所を理解し、最終決断は勢いではなく冷静にされることが転職に失敗しないために大切です。

筆者 南條 充
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