- プロフィール
- 関西の有名大学を卒業後、金融系シンクタンクのシステム子会社に入社。データサイエンティストとして、大手金融機関のAML(アンチマネーロンダリング)モデルのシステム開発と改修に携わる。統計解析ソフトのSASの基盤更改にも従事。転職活動では、短期ながらAMLとSASに関わった実績と飾らないコミュニケーション能力が買われ、アビームコンサルティングの内定を獲得。
大手金融機関向けにAMLモデルを開発し、チューニング、モニタリングを行うデータサイエンティストとして、キャリアのスタートを切った。
入社して2年が経ち、同期の2割近くが既に転職。今のような2次請けの立場ではなく、顧客に直接提案する仕事にも興味が出始めた。
自分の今の力を買ってくれるコンサルティング会社があれば、新天地に行ってもっと活躍してみたい。そんな思いで始めた転職活動。結果、アビームコンサルティングの内定を手にした。
25歳の若さで大手コンサルティング会社への転職に成功した舞台裏を、自身の率直な言葉で語っていただいた。
今の自分の価値を認めてくれる会社は あるか?
新卒の就職活動で一度は営業系の仕事で受けた内定。しかし、同期や上司となる社員のパワフルな営業姿勢にミスマッチを感じ、再度受け直して決まったのが金融系シンクタンクのシステム子会社だった。
—— 内定が出て終えたはずの就職活動を再開したのはなぜですか?
Iさん:同期とのグループディスカッションや先輩社員との懇親会で、ガツガツとした営業が得意な人が大半である社風が見えてきて、「果たして自分はこの人たちと働けるのか」と疑問に思ったことが発端です。私はどうしても人との相性を第一に考えてしまうタイプ。再度、複数の会社を受け直して、内定が出た中で働いている人が最も自分に合うと思った金融系シンクタンクのシステム子会社で、社会人としてのキャリアをスタートさせることにしたのです。
—— 3カ月の新人教育研修後、配属されたのが、現在、多方面から引く手あまたの領域の一つであるデータサイエンティストの部署でした。そこで2カ月のSAS研修と1カ月の独学を経て、客先に常駐されています。
Iさん:配属の希望を聞かれ、最も興味を持ったのがこの部署。大手金融機関に常駐し、親会社のシンクタンクの社員と共に、AMLモデルを運用することが日常の業務になりました。AMLモデルのシステムとは、簡単に言えば、金融機関の口座開設者の取引明細で、例えば急に外国への送金額や頻度が多くなるなど、マネーロンダリングが疑われるようなデータがあれば検知するもの。検知結果は日次や月次でモニタリング(報告)し、大手金融機関の担当者の要望や私たちの提案に応じて、送金額や頻度の設定も適宜チューニングします。
約2年間、この業務を毎日継続。従来、モニタリングやチューニングが標準化されてなかったことに問題意識を持ち、自ら先輩社員に方法をヒアリングして後輩のためにマニュアルを作成するなど、業務改善にも取り組みました。こうした日々の活動で、AMLのデータ分析に関しては相応の知識とスキルを身に付けられたと思います。
—— 途中から、SAS基盤の更改案件も兼務されています。
Iさん:社内でSASを知っている人が少なかったことから、プロジェクトマネージャー(PM)の補佐役として、アサインされました。PMはメールのみで作業担当者に指示出しするタイプ。コミュニケーション不足を感じた私が自発的に間に入り、PMの指示書を読んで担当者にフェイストゥフェイスで伝えるなど工夫しました。コミュニケーションが苦手なデータサイエンティストが多い中、私は比較的それが得意な人材として価値を発揮できたと思っています。
—— しかし、入社3年目に入った時、転職を意識され始めています。きっかけは何でしたか?
Iさん:2次請けの子会社だったため、クライアントに直接データ分析やシステム構築を提案できないことがネックでした。また、私の同期が約50人いる中、約2年でおよそ2割が既に転職しており、その他、大学の同級生にも転職者が多く出ていると言った状況にも、背中を押されたと思います。
ただ、私の場合、今の職場からどうしても抜け出したかったわけではなかったので、退路を断って転職活動に臨もうと思ったわけではありません。選考で自分のデータサイエンティストとしての価値を認めていただける会社があれば、そこに新たな活躍の場を求めたかったというのが正直な気持ちです。どの会社からも内定が出なければ、今の職場でさらに力を付けて、数年後に再挑戦してもいい。それが本心でした。
大手コンサルティング4社への挑戦
自社に残ることも考えながら臨んだ転職活動。複数の人材紹介会社と電話で面談し、最終的に任せようと思ったのがリーベルだった。決め手は、自分のこだわりや率直な物言いを時間をかけてヒアリングし、丁寧かつ的確に助言してくれたことだった。
—— いくつかの人材紹介会社と話をする中で、なぜリーベルを選ばれましたか?
Iさん:私は働く人との相性を最優先するなど、こだわりの強い人間です。建前ではなく、本音で話すことも信条としています。そんな特性を受け止めながら、現状や転職したい理由などを丁寧にヒアリングし、的確な助言を返してくれたことが、支援を受けようと思った理由です。例えば、話し方もレジュメの書き方も最初はとげとげしい本音だらけで不適切な点もあったところを、「マイルドに言うとこうですね」と一つひとつ訂正してくれたことなどが挙げられます。
—— 企業側にIさんの良さが伝わりやすいように、言い回しや書き方の工夫を助言してくれたわけですね。
Iさん:その点は、社会人経験が浅い私にとって、とてもありがたい支援でした。また、私の実績や性格も考慮して、「この会社のこの部署であればマッチしそうです」と、ピンポイントで求人票を勧めてもらえたことも有効でした。リーベルはSI会社やコンサルティング会社から信頼が厚いと聞いていましたが、理由の1つにこうした候補者と企業のマッチングの精度が挙げられると思います。企業側もリーベルからの紹介であればと安心感と期待感を持って選考に臨めるのではないでしょうか。
—— 転職先の希望はどのように伝えましたか?
Iさん:まず、大手のコンサルティング会社で、年収が今より高く将来的にも希望通りの増加が見込めることを条件とさせていただきました。コンサルティング会社を志望したのは、大学時代の同級生が何人か就職していてやりがいがあると聞き、トレンドとして自分の中でもパワーワードになっていたからです。さらに、データ分析やAIを活用したコンサルテーションができるデータサイエンティストが目標だったので、その希望もかなうと思いました。加えて、既に資格を取っているSASのスキルや金融機関のAMLの実績が生きる仕事であることも、選定の条件でした。
—— 非常にわかりやすく率直な条件です。それに対してリーベルが提示したのはどのような会社でしたか?
Iさん:アビームコンサルティングと、監査法人系コンサルティング会社2社、そして外資系コンサルティング会社1社の計4社でした。どの会社も自分にとってはチャレンジングな候補ばかり。自分の実力や市場価値を図るまたとない機会になると思い、不安と期待の両方を持ちながら、いよいよ本格的な転職活動に臨むことになったのです。
テンプレート的な答えより、その場で考えて本心を伝える
誰もが知っており、IT業界の中では一目置かれる大手コンサルティング会社に挑戦したIさん。入社後に直属の上司になるマネージャーが面接官となることを聞き、質問に対して率直に答えると同時に、「果たして自分と合う人なのか」を見極めようと考えた。
—— 各社の面接がどのようなものだったのかを教えてください。
Iさん:まず、アビームコンサルティングの面接官は、僭越ながら、データ分析にとても詳しい人だと思いました。金融機関のAMLの案件は守秘義務が徹底されているため、私から具体的に話せない部分が多い。その点を注意して話していると、「この点に困って、ここが改善点だったのでは?」と自己解釈し、まるで現場にいたかのように正確に指摘されたことには正直驚きました。
また、「当社を選んでほしいが、まだ若いので、他に自分に合う会社があればそこで経験を積むことを視野に入れてもいいと思う。色々な会社を見て、その上で当社が良いと思うのであれば、ぜひ来てほしい」とも言っていただけました。自分と非常に波長が合う方で、この方のもとで働きたいと、強く思ったことを覚えています。
—— その他の会社はどうでしたか?
Iさん:監査法人系のコンサル会社は、面接官の方とのやり取りがあまりうまくいかず、自分だけでなく相手側も、合わせづらいのではと感じました。もう一つ、外資系コンサル会社は、書類が通過して面接には進んでいましたが、実はその時既にアビームコンサルティングから内定を取得しており、同社に行く決意を固めていたので、そこで活動をストップしたのです。
—— アビームコンサルティングにどの点が評価されたと思いますか?
Iさん:SASの実績やスキルを持っている人がまだ世の中に少なく、さらに大手金融機関でAMLに携わってきた稀有な経験が、評価されたと考えています。
もう一つは、質問に対して、その時浮かんだ自分の言葉で率直に返答したことではないでしょうか。面接前に予め文章を考えて、一言一句覚えて臨む方もいると思います。ただ、それでは自分の本心や気持ちを伝えづらく、相手側にどの会社でもテンプレートのように同じことを話している印象を持たれてしまう可能性があります。その場で、瞬発力で考えて答えた方が本心だと伝わりやすく、面接官も「次にこんな質問をしたらどう答えるか聞いてみたい」と、興味を持つのではないでしょうか。
実際のコンサルティングの現場では、相手の質問に対して臨機応変に答えることは必要なスキルではないかと思います。私はそうしたコミュニケーションが得意なので、そのスキルを面接の場でしっかり見せ、「この人物ならコンサルタントとしてやっていける」とポテンシャルを感じていただけたことが、内定につながったと考えています。
若い世代は率直な物言いが武器になる
自分は人と話すのが得意。自身の能力に賭け、「質問への答えを詳細に用意しない」という方法をあえて選び、持ち前のコミュニケーション力で勝負したことで成功を掴んだ。そんなIさんと同様に、若くしてコンサルティング会社への転職に挑戦する人に、アドバイスとメッセージをお願いした。
—— 今回、転職活動が実を結んだ要因はどこにあると思いますか?
Iさん:面接では、質問の本質的な意図を理解して、面接官が求める答えとずれないように意識したことが、奏功したのではないかと思います。例えばよく聞かれた仕事での失敗談。面接に臨む前は、大きなミスの話をしなければならないと思っていました。あるいは、入社したての頃SASの研修で劣等生となり、リカバリーするために猛勉強して同期中トップで資格試験に合格したことを話そうとも考えていました。
—— つい、大失敗や個人的な話をしがちかもしれません。
Iさん:しかし、リーベルのキャリアコンサルタントに「面接でなぜこの質問をするのか」と確かめると、「事の大小に関係なく、あくまで“業務上で”困った事態が起こった時、どう考えて、どう切り替えしたかを相手側は知りたい」と助言を受けました。そこで、本番では、関係性が円滑でなかった顧客の情報システム部と話し合い、業務範囲を明確にすることでプロジェクトを滞りなく推進できた話をしたところ、面接官も納得した様子でした。その他の想定質問についても、一つひとつ意図をリーベルの担当者に確認し、ずれない答えを返すように心がけました。
—— では、今後、Iさんと同じように20代でコンサルティング会社への転職を考えている方に助言やメッセージをお願いします。
Iさん:まず、転職のことを相談する相手が周囲にはいないことが問題。もちろん上司には言えないし、同僚にも話しづらいかもしれません。そんな時は、1人で悩むより、実際に転職をする、しないに関わらず、1度人材紹介会社に相談することが突破口になります。私も「転職」と「残って仕事を続ける」気持ちが五分五分の状態で、リーベルに相談しました。リーベルでは、転職を無理に勧めるわけでもなく、現職に留まることも選択肢として残した上で、フラットなスタンスでヒアリングや求人票の紹介をしてくれました。相談場所もカフェなど公共の場ではなく、リーベルの会社にある閉じられた空間の相談室で行うため安心です。
—— 面接で心がけることはありますか?
Iさん:繰り返しになりますが、面接官の立場で考えた場合、特に20代の応募者であれば、きれいな言葉を並べたり、用意した話をよどみなく話すよりは、若い世代らしく、率直に思ったことを伝える方が、好印象を持っていただけるのではないでしょうか。それが、社会人経験や実績が足りない若い応募者の中で誰を採用するか決める時、判断する材料の1つになると思います。もちろん、言葉の選び方は相手に敬意を払い、マイルドにすることが前提です。
—— 実際に面接の場でストレートな物言いを心がけ、コンサルティング会社の内定を勝ち取ったIさんの言葉には説得力があります。他の候補者と少しでも差をつけるには必要なことでしょう。ありがとうございました。
ライター プロフィール
- 高橋 学(たかはし・まなぶ)
- 1969年東京生まれ。幼少期は社会主義全盛のロシアで過ごす。中央大学商学部経営学科卒業後、1994年からフリーライターに。近年注力するジャンルは、ビジネス、キャリア、アート、消費トレンドなど。現在は日経トレンディや日経ビジネスムック、ダイヤモンドオンラインなどで執筆。
- ◇主な著書
- 『新版 結局「仕組み」を作った人が勝っている』(光文社)(荒濱一氏との共著)
『新版 やっぱり「仕組み」を作った人が勝っている』(光文社)(荒濱一氏との共著)
『「場回し」の技術』(光文社)など。