転職回数が多いと、転職で不利になると考えている方は少なくありません。実際、私たちに相談いただく際にも転職回数をネックに考えている方はとても多いです。
しかし、転職回数が多いからといって、必ずしも評価がマイナスになってしまうとは限りません。また、IT業界はキャリアアップをする上でどうしても転職が必要になる事情もあり、一定の転職回数は逆にポジティブに受け取られることもあります。
そこで今回は、IT業界で一定の転職回数が認められる理由や、転職回数が多くても転職を成功させるポイントなどについてご紹介していきます。
転職時の参考にしてみてください。
1. 転職回数の不利はキャリアや理由次第
IT業界では、所属する企業によってその立ち位置が決まります。具体的には、一次請けSIer、二次請けのソフトハウス、パッケージソフトのメーカー、サポート専業会社、ITコンサルなど、その所属する企業で就ける職種も限られるのです。
そのため、理想の仕事をやるためには、どうしても転職が避けられません。IT業界では、ある程度転職をすることは当然のことと認識されているのです。
これまで築いてきたキャリアのストーリーや、転職理由をポジティブかつ明確に説明することができれば、転職先でのキャリアアップができるのがIT業界の良いところです。
転職回数だけをネガティブに捉えられず、求職者の持つスキルや経験の変遷を重要視してくれる傾向にあります。
このように、転職理由をきちんと説明でき、転職によってスキルアップできることをしっかり証明できれば、キャリアプランにおいては、マイナスどころかプラスに働くでしょう。
実際に同じ40歳の転職者がいたとして、「40歳で1社経験」の人よりも「40歳で3社経験」という人の方が、企業からの評価は高いはずです。複数の企業でキャリアを切り拓いてきたという経験自体が、ポジティブに評価されるのです。
ただ、他責にするような転職理由や、短期で何度も転職を繰り返しているようでは、当然マイナス評価です。そこはどの業種・企業でも変わりません。
2. なぜIT業界は転職が多いのか
IT業界では、一定の転職回数もポジティブな印象を与えることがわかったところで、そもそもIT業界では「なぜ転職回数が多いか」その主な理由を3つご説明していきます。
スキルを身に付けるため
同じIT業界でも業種や会社によって必要なスキルは違ってきます。
会社ごとにGolangに強い、Azureに強いなど得意とするスキルが異なるため、新たなスキルを身に付けたい場合は、外の世界に機会を求めるケースが多いのです。
また、長く同じ会社で仕事をしていると、その会社の得意とするスキルに固定化されてしまうケースもあり、転職を考えた時に潰しがきかなくなることも考えられます。
こうしたスキルアップ・キャリアアップの転職は、ポジティブに受け取られるケースが多いです。
待遇面を上げるため
IT業界と一口にいっても、待遇面ではかなりの差があります。
例えば、同じSEでも一次請、二次請、三次請と商流が下がるほど、収入や労働時間などの条件が悪くなることが一般的です。
そのため、スキルを上げて待遇面の良い会社への転職を目指すのは一般的になっています。
やりたいことを実現するため
いざ希望の会社に転職できたとしても、数年後はまた違う立場で仕事をしたいと思う方は少なくありません。プロジェクトマネージャーを目指していた方が、数年経つとITコンサルになりたいと考えたり、社内SEを目指したいという方もいるでしょう。
また、最近は少なくなってきましたが、人手不足による重労働や対応領域・業務領域の偏りなど、労働環境を理由に転職する方も一定数います。
仕事だけでなく、ワークライフバランスを重視したいというタイミングもあるのです。
3. 転職回数が多くても転職を成功させるポイント
ここからは、転職を成功させるポイントを4つご紹介していきます。
キャリアや転職理由を明確に
転職の際は、キャリアや転職理由を特に明確にしておきましょう。
IT業界では、特にキャリアやスキルを重視する傾向にあります
書類や面接で、転職する理由やこれまでのキャリアで培ってきたスキルでどのように企業に貢献できるかなどをしっかり説明することができれば、これまでの転職もプラスに評価されることもあります。
退職理由はポジティブに
退職理由は人によってさまざまで、その中にはネガティブな理由のこともあるでしょう。ただし、転職の際にネガティブな理由を挙げることは避けたほうが賢明です。
例えば、給料が上がらないから、激務だからなど、ネガティブな内容は外すべきと言えます。
「将来のキャリアアップのために幅広いスキルを身に付けたかった。」などが理想ですが、実際の自分とかけ離れていたり、前職で身に付けたスキルがなければ嘘になってしまいますので、注意するようにしましょう。
キャリアストーリーを意識する
これまで何度か転職をしている人は、一つ一つの転職理由がぶつ切りにならないよう、長期的なキャリアストーリーを作り上げましょう。
1つだけポジティブな転職理由をつけても、他がネガティブな理由ならば意味がありません。また場当たり的な転職理由にならないように注意が必要です。
転職エージェントに相談する
転職回数が気になる場合は、IT業界に強い転職エージェントに相談するのも1つの手です。
転職エージェントと相談しながら、改めて自分のキャリアを見直すことができますし、強みを再発見することもできます。
そうして発見した強みやキャリアをもとに、自分の条件に適した求人を紹介してくれるのも転職エージェントを利用するメリットの1つです。
4. 転職を成功させるために必要な能力
最後に、転職を成功させるために必要な能力を見てきましょう
変化への適応力
IT業界は業界柄、変化が大きいことが特徴です。
新たに生まれたトレンドも数年経てばレガシーになり、時代遅れになることも珍しくありません。
そのため、常に新たなトレンドを学習し、環境の変化に対応する適応力が求められます。
古い技術ややり方に固執せず、新しいものを取り入れる適応力がある人こそがIT業界にマッチした人材と言えます。
先を見通した働き方
自分のキャリアプランはもちろん、IT業界やこれからのトレンドを見極めて働いていく力はとても大切です。
変化の激しい業界だからこそ、ただ業務をこなすのではなく、定期的に自分や業界の方向性を確認し、時代に合った提案や考え方、働き方を考える力はとても大切です。
5. まとめ
転職回数が多くても、転職理由がしっかり説明できればマイナス要素をカバーできますし、しっかりとした軸があればプラスに働くことも少なくありません。
IT業界は、スキルや実績を重視するため、キャリアプランをしっかり設定して、アピールしていきましょう。