COLUMN
コラム:転職の技術
  1. IT転職リーベル ホーム
  2. コラム:転職の技術
  3. 『新卒で入社した会社に定年まで』という願望が絶望に変わる日
第676章
2014/11/21

『新卒で入社した会社に定年まで』という願望が絶望に変わる日

— 大企業=安定という時代は終わっている —

年功序列廃止、終身雇用廃止の流れは変えられない

終身雇用や年功序列というのは、企業が成長を続け新入社員も毎年大量に採用し続け、結果として企業の従業員の構成がピラミッド構造となっている時代に成り立ってきた人事制度です。この人事制度に乗れたのは団塊の世代まででその後は徐々に流れは変わってきています。

企業は終身雇用制度の廃止といわなくても経営状況の悪化の時に『早期退職希望者募集○千人』という形で人員削減、人件費削減を行ってきました。しかも、その対象は若手ではなく40歳以上の中高年がメインのターゲットになったのです。これは終身雇用制度が事実上崩壊しているということです。その昔は大企業でも当然事業の廃止は行われてきたのですが、配置転換で雇用を守ってきました。しかし今は配置転換ではなく、その事業に関わってきた人員を外部に出すという人員削減で会社の存続を守るようになってきています。

具体的に電機業界をみると、古くはNECの人員削減、リストラは行わないと言われてきたパナソニックの人員削減、2012年のシャープの早期希望退職募集、最近は2012年に続き2014年のソニーの早期退職優遇制度募集があります。ソニーの対象者は管理職が45歳以上、一般社員は40歳以上です。もっとも転職に苦戦する年代の方が対象です。電機業界だけではありません。例えば日本航空でも社員の約30%が削減されました。

また年功序列制度廃止も明確な流れとなっています。2014年9月に日立製作所が管理職の年功序列要素を廃止し、成果主義に全面的に改めると発表しました。これは次に一般社員にも適用されていくでしょう。ソニーやパナソニックも2015年からの廃止を検討していると言われています。制度の廃止の背景には、グローバル化で世界共通の基準にしなければならないということもあります。日本企業は否応なくグローバル化が進んでいます。人事制度も当然日本独自の制度は守れないことは明確です。

流れに逆行している新入社員の意識
-新入社員の過半数(50.7%)が入社した会社に定年まで勤めたいというズレ-

日本能率協会が2014年4月に発表した、新入社員「会社や社内に対する意識調査」によると新卒で入社した会社で「定年まで勤めたい」が初めて過半数(50.7%)に達したといいます。2001年には「定年まで勤めたい」は19.6%だったので、少しずつ増えてきて13年間で2.5倍に増えたことになります。
このような傾向となっている原因はいろいろ考えられると思いますが、明らかに企業の変化とは逆行しています。

新入社員の一部はもちろん定年まで勤めることが可能でしょう。しかしそれは大多数ではないということは確かな流れです。問題は「大企業、有名企業に入社したからもう安心」とばかりに自分のキャリアを作るということに意識をしなくなった時です。そのつけは15年後、20年後に突然来ることになります。

40歳や45歳で事業苦戦、経営悪化で予想外の希望退職募集の対象者になった時です。今まで会社に貢献することだけを考えキャリアを作ることを考えてはいなかったが、良い大学をでて、大企業でもまれてきたのでどこでも採用してくれるだろうと考える人もいます。しかし、その後の転職活動で世間と自分の想いとのギャップに経済的な苦労だけでなく精神的なダメージを受けた方を多く見てきました。まさに願望が絶望に変わった瞬間です。

その会社で大切でない仕事はありません。すべての仕事は大切で会社に貢献していることは間違いありません。しかし、それが他の会社でも活かせるスキル(ポータブルスキル)かというとそれは別になります。どこの会社にいっても通用するポータブルな能力を身についていないと40歳の時に突然、希望退職に応じないかといわれてショックを受けることになります。

日本企業にいても外資系の意識が必要

外資系企業は年功序列も無ければ終身雇用もありません。外資で働くということは常に自分のキャリアを見つめ、何を強化しないといけないか、今の仕事は自分の方向性と合っているのかを考えないといけない環境にあります。自分の方向性と違う場合は社内異動、または外部への転職を考えることになります。

今は日本企業にいても常に自分のキャリア、スキルの目標を考える必要があります。今年9月に厚労省が発表した「若年者雇用実態調査」によれば、民間企業で働く35歳未満の人が初めて勤務した会社に「現在も勤務している」が51.7%、「勤務していない」が47.3%というデータがあります。約半数が35歳までに最低1回の転職をしていることになります。

新入社員の半数が定年までと望んでいるのに、現実的には35歳までに半数が会社を変わっていることになります。とにかく世の中の動きをよく見ておくことが大事です。

<コンサルタントT.I>

関連記事

注目のキーワード: