少し古い記事になりますが、日経コンピュータ2013/7/11号、77ページの記事をお読みになった方はタイトルを見てピンときたと思います。
『Web系の技術者の価値がどんどん高まっている。今や彼らは、ネットを使った新規事業のビジネスモデルやプロセスを考え、そのインプリメンテーションも担っている。つまり、ビジネスロジックの設計やそのプログラミングも行っているわけだ。』
『Web系の技術者が業務システムを本気でやりだしたら、今までのような企業情報システムを作っていた技術者なんて、あっという間に駆逐されてしまう』
同誌では『暴論』と前置きした上で持論を述べていますが、私はあながち暴論でもないかなと思っています。
実際、私がお会いする方の約八割は企業システム開発をしている方なのですが、そのうちの実に約八割の方がビジネスに余り関心がありません。
関心がない、と断言すると、ほぼ百パーセントの人が『そんなことはない』と答えると思います。
しかしながら、ではどういったことを考えていますかと聞くと、アイデアのある人にくっついて要件を実現しビジネスに貢献します、といった内容がほとんどです。
本当にビジネスに関心があるならば、いま世の中で何が求められているのか、その中で自分は何が出来るのか、具体的に誰に何をどういう手段で提供するのか、そのためにどういう資源がいるのか…などを考えているべきです。
自ら考え、自ら成し遂げる覚悟があって初めて『ビジネスに関心がある』と言えると思います。
『そんなこと、ずっとシステム開発をしてきた自分に出来るわけがない』と、思った方は、既にWeb系エンジニアの方に負けています。彼らの多くはビジネスメリットを念頭に置きながらのサービス立案と実現を『それが普通』として行って来ています。傍目から見れば同じITエンジニアですが、そのマインド、パワフルさは全く違います。
企業内で使われる業務システムの開発は、企業が環境の変化に対応する必要がある以上、無くなることはありません。
しかしながら、ビジネスに直結するITを手掛けたいのであれば、いまからでもマインドを変えなければ、今後はWeb系エンジニアが主導権を握ってしまうため、そちら側に移ることが難しくなるでしょう。
ながらく続いてきた『業務要件を的確に落とし込む』ことが最上の価値である時代から、いよいよ『サービスを作りビジネスを動かす』ことに価値が置かれる時代にシフトしています。
自社のビジネスや事業形態により行動が制限されるところもありますが、視野や視点は制限されません。
顧客要件にしても、こちらから要件を作り出す=提案出来ることは沢山あります。
ただの御用聞きにならないよう、今の業務でイノベーション、改善を考え実行することを強くお勧めします。
<田中 祐介>