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コラム:転職の技術
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第610章
2013/11/08

『お見送り』を出す側のこころ

『この度はお見送りとさせていただきます』

転職希望者の可能性をひとつ閉ざしてしまうこの言葉。
何度聞いても悲しい響きであり、支援している人の落胆を思うと胸が痛みます。
この仕事を何年していても、これだけは一向に慣れません。

何度か『見送り』という言葉を聞いていると、だんだん『何が見送りだよ。要はダメなんでしょ。はっきり言えよ!』と毒づきたくなります。(これはほかならぬ、私自身の転職活動での経験談です)

しかしながら、先日自社での採用を開始し、私が面接をした人の合否を社内で検討したときに、不採用は『ダメ』ではなく『見送り』なのだと知りました。

その方は、募集要件は満たしており、話す雰囲気も良く、志向も合っていたため、コンサルタントとしての資質はあると思いました。

しかし、入社後の様々なこと、それこそ中途入社研修から始まり、営業、面談・支援、社内業務といったあらゆる場面を想像し、また、困難な時にも頑張れるか、自己修正ができるかどうか、モチベーションが持続するか、そもそも本人にとって幸せかなどを想像し議論した結果、『現段階では難しい。でも可能性は感じたので、もう数年頑張ってみて、もし良ければまた応募してきて欲しい』、つまり、『今回は見送り』という結論となりました。

ああ、『お見送り』という言葉には、こういう気持ちが含まれているんだな、と感じました。

更に言えば、『お見送り』には、自社側の事情も多分に含まれます。会社のステージや市場の状況などによって人材ニーズは変わるため、数年前なら大丈夫だったけどいまは受け入れられない、でも数年後なら大丈夫かも知れない。だから『いまは見送り』ということも十分にありえます。

実際、一度お見送りがでたものの、その後に希望する企業に再度応募し入社された例もあります。
新卒時に入れなかった会社に4、5年後に中途入社を果たした方、ある年には『ポジションがない』と言われたものの、数年後に希望のポジションがオープンしたので受けに行き入社を果たした方など、縁があるまでじっと研鑽しながら待ち続け、時宜を得て入社を実現した方々は、多くは有りませんがいらっしゃいます。

この様に、いまは縁がなく『見送り』でも、将来は可能性があるかも知れません。現時点では残念ではありますが、いまは『いまの縁』を大事にし、スキルアップを続け、来るべきその時に備えて頂きたいと思います。

なお、こういう話をすると、半年から1年おきぐらいに応募をし続ける方が出てくるのですが、それは却って逆効果のため、3年~5年後くらいの間隔を経て再チャレンジすることをお勧めします。

<田中 祐介>

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